創始者、サルヴァトーレ・フェラガモは僅か9歳にしてイタリア靴職人としての技術を習得し、15歳で渡米し、
その後ハリウッドで映画衣装用の靴を作るとゆうチャンスを与えられる。当時、既に靴の製造は機械による生
産に移り変わっており、映画俳優たちの足に合わせて一つ一つ作る作業はひじょうに面倒なことであり、ビジ
ネスの観点からみると敬遠されても致し方ない事であった。折しも、フェラガモの機械生産ではなく、履く人
の足にあわせハンドメイドにより一つ一つ丹念に作るスタイルが、そのような状況にあてはまり、靴作りを任
されることに繋がったのだ。オードリー・ヘッブバーン、メアリー・ピックフォードやマレーネ・ディートリ
ッヒ、ルドルフ・ヴァレンティノ、チャールズ・チャップリンなど大物俳優たちの靴を手掛ける事により、ス
ターの靴職人としてフェラガモの名はアメリカ中に広がっていった。その後、フェラガモはイタリアに帰国し
フィレンツェに靴工房を開くが、アメリカの急速な需要低下による影響を受け倒産。しかし、僅かそれから2年
後の1935年に会社再建、イギリス、フランス等への輸出需要に成功し、売り上げは右肩上がりに上昇し37年に
はなんと、スピーニ・フェローニ宮殿(現在、サルヴァトーレ・フェラガモ博物館)を購入出来るまでに達した
。フェラガモがここまで靴ブランドとして世界的に成功した要因には、外観デザインのみならず、履き心地の
良さを重要視していた事が挙げられる。それは、たとえ王妃であろうと靴を脱がせ、自らの手により採寸し、
足の形や特徴をつかんだ後にはじめて木型をつくるといった、ひじょうに手の込んだ工程を経ており、人間工
学に基づき足の骨格、履いたときの重心の位置など、徹底的に研究を重ねた末に得たノウハウを駆使し、靴の
内構造と外観上の美しさを高次元でバランスしたことにより、壮観な眺めと履いたときの感動を提供したので
ある。1960年、創始者サルヴァトーレ・フェラガモ死去。その後、ワンダ夫人、6人の子供たち、その孫たちが
後継者となり、靴以外にも、レディース、メンズのプレタポルテ(既製服)やバック、香水なども手掛け、総合
ブランドとして成長を遂げる。1996年には“エマニュエル・ウンガロ”を買収。現在、靴の生産は機械生産に
移行したが、サルヴァトーレ・フェラガモの靴を作るうえでの重要コンセプト、高いデザイン性と、履き心地
の良さは、今尚しっかりと受け継がれている。フェラガモ・ブランドの特筆べき点は、このような事以外にも
、アイテムの価格設定の取り方などがある。ブランド価値により、高額を付けるのではなく、あくまで品質に
対しての妥当な値段設定をおこなっており、イタリアの職人としての誇りや、顧客満足度を重要視しているこ
とが理解でき、これらの事が世界有数の一流ブランドとして絶大なる信頼感を勝ち得ている要因となっている
のだ。
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